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保険見直し

 終活では相続対策が重要ですが、意外に忘れがちなのが「保険の見直し」です。保険契約には、「保険契約者」」、「被保険者」、そして「保険金受取人」3人が関係した契約です。それぞれの関係人を見直すことで相続が発生したときに、相続対策になる場合が少なくありません。

以下では、「保険金受取人の確認と税金」、「相続財産に土地建物が多い場合」、「相続財産を減らしたい場合」の3点の相続対策について解説します。



保険金受取人の確認と税金


 まず保険契約書で確認していただきたいのが、「死亡保険金受取人」の欄に記載があるかどうかです。以前の保険契約では郵便局などで見受けられた終身保険で、死亡保険金受取人が記載されていない保険契約があります。

 この場合、被保険者が死亡したときの死亡保険金は、遺言書が無いとすれば、法定相続人全員で遺産分割協議を行って配分を決めることになります。死亡保険金受取人が記載されていないようでしたら、是非、窓口で保険金受取人を記載するよう手続きを行ってください。


 次に税金ですが、保険契約に登場する3人の関係が違うと、支払うべき税金の種類も違ってきます。つまり、死亡保険金だから必ず相続税の対象になるとは限らないということです。


契約形態と税金

税金の違い

 上図のように契約者、被保険者、受取人の違いで、課税される税金が変わります。相続税であれば以下の基礎控除が適用になりますが、その他の税の場合は適用はありません。しかし、あえて相続税とせずに、贈与税や所得税にすることで、違った相続対策もできます。以下、2つの例を挙げます。

 ▷生命保険金の基礎控除額の計算 ⇨ 500万円×法定相続人の数




相続財産に土地建物が多い場合


 相続財産は自宅の土地建物が多く、預貯金はさほど多くないといった場合ですが、相続発生後も自宅には配偶者や子どもが住むことになれば、その後の生活費や配偶者の医療費、入所費なども確保しておく必要もあり、ほかの相続人に遺産を分けてあげることが難しくなることがあります。


 このような場合の保険の見直しでは、死亡保険金の受取人を遺産を受取るべき他の相続人に変更することが考えられます。なお、受取人は複数を指定できますので、保険金額や相続人の状況などを踏まえて、受取り割合などを指定しても良いと思います。


 ●死亡保険金の受取人の変更で、相続に備える。



相続財産を減らしたい場合


 相続税には基礎控除があり、遺産の総額が基礎控除額以下であれば相続税は課せられません。また、相続税率は累進課税ですので、基礎控除額から超える遺産をできるだけ減らすことで、課税される相続税の負担を抑えることができます。


 保険の見直しでも遺産を減らすことができます。現在加入している生命保険があれば、契約者を自分から息子などの、法定相続人に変更し、死亡保険金の受取人も息子に変更します。この変更でそれ以降は、父に代わって息子が保険料を支払うことになります。この保険料は、父が毎年息子に贈与して支払に充てる。つまり父の資産を減らす効果があるというわけです。

 この契約形態で新規に保険加入する人もいます。加入する保険は「終身保険」で「短期払い」です。それ以外の定期保険や医療保険などでは効果が期待できません。
 参考としていただきたいことですが、日本の低金利政策の影響で国内保険会社の予定利率が低下し、多くの国内生保では円建終身保険が販売停止になっています。それに代わって外貨建終身保険が発売されていますが、相続税対策には全く問題はありません。為替差益や為替差損が若干ありますが、さほど影響は無いと考えます。


 保険料贈与による贈与税は、年間110万円の基礎控除がありますので、息子に対する贈与を年間110万円として、この保険の保険料を支払うことによって、贈与税は発生しません。また、贈与する相手は何人でも可能ですから、例えば娘、配偶者を契約者として保険料の贈与を設定すれば、10年間で3,300万円の相続財産を下げる効果があります。さらに、贈与税を払っても多くの贈与をしたい。あるいは数年間(短期間)で贈与を完了したいということも、もちろん可能です。


 上図の契約形態で「本人」が死亡した場合、「息子」が保険金を受取ります。多くは息子が負担した保険料以上の額が保険金として払い込まれますので、保険金と負担保険料総額との差額に関して、所得税の申告をすることになります。

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 終活における相続対策の観点から、生命保険見直しのポイントを書いてみました。既に加入している保険の内容がどんなものなのか、内容の見直しは必要ないのかなど、保険証券をお持ちになって来所いただければ、その場でアドバイスいたします。


(文責:ファイナンシャルプランナー藏本光喜)