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遺言書

 「人」の死をきっかけに相続財産を奪い合う。いわゆる「争族」と言われるトラブルは少なくありません。争う人は家族であったり、兄弟であったりしますので、それを機に、家族関係や縁者との関係がギクシャクしてしまう場合もあります。

 また、「あの仲の良かったご家族が裁判所に訴え出たなんて」と噂になることもあります。親が元気な間は、子ども達夫婦も仲睦まじく暮らしていたとしても、いざ親が亡くなった途端、それぞれが家庭事情や生前の感情を持ち出すことは、意外に多いものです。

なぜ遺言書が必要なのか

 いったん相続が発生すれば、揉めないほうがおかしいといっても過言ではないのかもしれません。そのような相続問題を揉めないようにする切り札の一つが遺言書です。自分自身が責任をもって「きちんとした遺言書」を作成することで、自分の財産を巡るトラブルを未然に防ぐことが出来ます。

 とは言え、遺言書があれば相続に関する争い事をすべて防ぐことができるのかといえば、「万能である」とは言えません。相続対策のページにも解説がありますが、法定相続割合や法定相続人などを考慮せずに遺言書を作成してしまうと、争いごとになることがあります。また家族構成、人間関係なども考慮する必要があります。

 しかし、遺言書が残されていることで、相続紛争を防ぐことが可能であることは確かです。したがって、要件を満たし、かつ確実に執行される遺言書を作成するためには、一度相談されたほうが良いと思います。

遺言書の種類と保管方法
  • 自筆証書遺言
  • 自筆で遺言書を書き、自分が保管する
  • 法務局預かり遺言
  • 自筆で遺言書を書き、法務局が保管する
  • 秘密証書遺言
  • 自筆で遺言書を書いたものを封をして、公証役場が遺言書の存在を証明し、自分が保管する
  • 公正証書遺言
  • 公証人が遺言者の希望を聴取し、公正証書で遺言書(公文書)を作成し、遺言者と、公証役場双方が保管する(自筆は必要無し)
遺言書があるとき、無かったとき

《遺言書があった場合》

●自筆証書遺言
 上記4種類の遺言書のうち、自筆証書遺言は、開封してしまうと、その遺言書は無効(無かったこと)になります。万一開封して、相続人全員が異論無く遺産分割ができるのであれば、遺産分割協議が整ったという事になります。

 基本的な手順としては、自筆証書遺言を発見した場合は、相続人全員が家庭裁判所へ出向き、裁判官に開封してもらいます。これを「検認」と言います。

●法務局預かり遺言
 法務局預かり遺言は、遺言者が亡くなったときは、相続人が法務局で内容証明を発行してもらいます。この場合、法務局は窓口へ来た相続人以外の相続人に、内容証明の発行請求があったことを郵送でお知らせします。家庭裁判所での検認は必要ありません。

●秘密証書遺言
 遺言者が亡くなったときは、相続人が公証役場へ行き、封をしたままの遺言書を受取ります。検認は必要ありませんが、秘密証書遺言は、内容を秘密にしていますので、開封するまでどのような遺言内容であるのか不明です。場合によっては、遺言書の要件を満たさない書式、内容で、遺産分割協議が必要になることもあります。

●公正証書遺言
 遺言者も公正証書を保管していますので、遺言者が亡くなった場合、相続人が遺言書を開封して内容を確認します。もし、遺言者の保管している遺言書が見つからない場合は、相続人が公証役場に出かけ、遺言書の正本を再発行してもらいます。


《遺言書が無かった場合》

  • 法定相続人全員で、遺産をどのように相続するかを相談します。これを「遺産分割協議」といいます。法定相続人全員の了承をえて遺産分割協議書に署名捺印し、相続人各自が保管します。代表相続人(遺言執行者)が遺産分割の事務手続きを行います。
     なお、相続人全員が、代表相続人等に遺産分割を委任するという意思でまとまった場合は、遺産分割協議を経ずに遺産分割を行うこともあります。
  • 法定相続人それぞれの主張が食い違い、協議がまとまらなかった場合は、家庭裁判所に調停を申立てます。裁判官が法定相続割合を基に、各相続人の主張を聴取・勘案し、遺産相続割合を決定します。
自筆証書遺言の作成例

 書き方についても、記入すべき必須項目がありますので、遺言書を必要と感じた方は、是非ご連絡ください。相談は無料で受け付けています。