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身寄りなき老後と生前契約

 近年、地方部に限らず都市部でも高齢のご夫婦二人暮らしや一人暮らしの方が増加してます。家族、身寄りは居ても遠方で暮らしていて、年に1回~数回の行き来はするものの、親世帯、子世帯がそれぞれのライフスタイルで生活を営んでいる。

 当相談所へも「子ども達はそれぞれ別々に所帯を持って暮らして一緒に暮らすことは無理のようだ。私たち夫婦のこれからが心配だ」という相談が急増しています。あるいは、すでに体調を壊して入院中の一人暮らしの方からの相談もあります。もしもそばに身寄りがいなければ、このような悩みは切実なものになります。いわゆる「身寄りなき老後」と言われるものです。以下で元気なうちに対策を講じることのできる仕組み・制度を紹介します。


見守り契約

 高齢者が誰にも気づかれず亡くなっていた。という事件が時々報道されることがあります。少子高齢化が進んでいる現在、高齢者にとっては決して他人事ではありません。特に現在一人で暮らしている方、あるいはご夫婦で暮らしているが、どちらかが病気などで、看護をしながら暮らしている方などは、このようなことに十分注意を払うことが必要です。そばに身寄りがいない、また近所付き合いはほとんど無いなどという場合は、見守り契約を考えてみてください。

この契約は、認知症などで判断力が低下したり、健康を害してしまったりすることを事前に察知するために連絡を取り合い、気軽に相談ができるようにする契約です。
※ゴミ出しや清掃などの日常生活の支援ではありません。


生前事務委任

 判断力に問題は無いが、入院等の事情で他人の援助が必要になった時のために事務の代行を委任する契約で、以下の委任を引き受けます。

  • 介護などの福祉サービス利用の締結、変更、解除、解約や費用の支払い
  • 要介護認定の申請、認定に対する承認、審査請求
  • 福祉施設への入所に関する契約の締結、変更、解除、解約や費用の支払い
  • 医療契約および病院への入院に関する契約の締結、変更、解除、契約や費用の支払い
  • 契約者に帰属する財産並びに収入の管理、保存
  • 金融機関との必要な取引
  • 定期的な支出を必要とする費用の支払い及びこれに関する諸手続き
  • 日常生活に必要な生活費の管理及び物品の購入等
  • その他、国民として保障されている権利・利益を守るため、法律に基づき必要な手続き、申請等全般の事務を代行します。

任意後見契約
  •  契約者が認知症などにより判断能力が低下した場合に備えて予め準備しておく契約です。のちのち認知症になったとき、任意後見人から家庭裁判所への申立により、任意後見監督人が選任されることによって、契約者の生活・療養看護・財産管理に関する事務などを開始します。

    この契約は判断力が低下する前に、将来の認知症に備えるために契約するものです。認知症になり判断力が低下してしまってからは、本人の4親等以内の家族・親族等から裁判所への申立により「法定後見人」が選任されることになります。(成年後見制度を参照)

 任意後見契約が開始されると、それまでの生前契約による委任契約は終了し、契約者の生活・療養看護・財産管理に関する事務は、任意後見契約に基づいて行われます。


死後事務委任

 契約者の死後、以下の死後事務等を委任することができます。

  • 葬儀・埋葬に関する事務
  • 債権の回収及び医療費、施設利用費、公租公課その他の支払い
  • 身辺整理(空き家、家具家財の処理、仏壇の処理等も委任できます)
  • 年金等、行政官庁への諸届出事務
  • 相続財産管理人の選任の申立
  • 遺言執行者、相続人、相続財産管理人等への相続財産の引渡し
  • その他死後に必要となる事務

 上記4種類の契約を総称して「生前契約」といいます。高齢に伴う不安・悩みは複数出てきます。そのためこれらの生前契約を一体として締結しておくことをお勧めしています。なお、必要と思われる契約のみを選択して締結しておくこともできます。

契約後は「見守り契約」以外は、体調に変化が出た時から始まる契約です。当相談所では生前事務専任の相談員を置いています。直接専任相談員へ連絡を入れたい場合は、下記のアイコンをクリックしてメール連絡を入れることができます。