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理事長設立あいさつ


 向暑のみぎり皆さまにおかれましては、益々ご隆昌の段大慶に存じます。平素は格別のお引き立てを賜り誠に有難うございます。

 さて、このたび「特定非営利活動法人しらかみ終活相談所」を設立いたしましたので、ご案内かたがたご挨拶申し上げます。

 高齢者の多くは自身の体調や健康、漠然とした明日のことなど様々な不安や悩みを抱えて暮らしています。そして、介護を必要とする高齢者や認知症高齢者の増加、人権侵害、財産承継等々、高齢者を巡る様々の問題が提起されていることも周知の事実です。そのため現在、高齢者の間では「周囲に迷惑をかけずに人生を終える」ための準備が必要だと考える人が増えています。いわゆる「終活」といわれるものです。

 かつては子どもが多く家族が一緒に暮らし、分担して親の老後の世話や死後の後始末を行うことが通例でした。しかし、現在のように子どもが一人または子どもがいない夫婦や、高齢者だけの世帯が珍しくない状況では、子ども世代へ大きな負担をかけることができなくなってきています。また、地域社会も人間関係が希薄になってきており、孤独な老後を過ごす方も少なくありません。そんな環境から社会現象としても「終活」が広がっているのではないでしょうか。

 さらに、高齢化に伴う大きな課題として「親なきあと問題」があります。わが子に障がいがある親は、常に「私が死んだらこの子は・・」という切実な不安を抱えています。親が先に亡くなった後、あるいは、親が健康上の問題で子どもの面倒を見られなくなった場合に、どのようにしたらその子が十分な介護を継続して受け、金銭的にも不自由することなく平穏無事な暮らしを送れるようなサポートを受けることができるのか。このようなことが障がいのある子を持つ親の最大の課題であり、関心ごとになっています。

 「終活」、「親なきあと」は、今後ますます切実な問題となってきます。介護や福祉だけでは問題解決は難しく、生活や財産、個人の人生まで幅広い分野に及びますので、法律や行政制度、各分野専門家の努力も必要と思います。

 そこで私たちは、高齢者および知的・精神障害者、認知症高齢者などの判断力が不十分な方々とそのご家族に対し、自らの生き方を選択し、最期に至るまでの決定を自らの手で行い、障がいの有無にかかわらず誰でも活躍できる共生社会の実現を目指して、誰もが安心して生きていくために必要な相談、支援に関する事業を行う特定非営利活動法人を設立しました。

 つきましては、これまで同様、当相談所の活動に関しまして、格段のご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

令和2年6月吉日

特定非営利活動法人 しらかみ終活相談所
理事長 土 田 浩 次